SNSの正しい使い方

2週間ほど前だろうか、X(旧Twitter)上でもう何年も前にブロックしたはずの友人のポストが突然あらわれた。そのポストは確か数百くらいはいいねされていて、要はまあまあバズっていた。私の目に触れたのも、その友人と全く関係なく私がフォローしたアカウントがリポストしていたからだった。ブロックしたはずなのに私のタイムラインにあらわれたのは、諸々の経緯で新規にアカウントを作り直していたのが原因らしかった。

名前やアイコンは同じだったので私はすぐにその人だとわかった。ポストに書かれていることは現在起きているイスラエルによるカザへの侵攻に反対する内容のもので、至極まっとうだった。しかし、ブロックしたはずの相手のポストがいきなり目に飛び込んできて、それが多くの賛同を受けているものだった時、私の胸が一瞬でも曇らなかったかと言ったらそれは嘘になる。

その場ですぐにもう一度ブロックしてもよかったのだが、なんとなくの好奇心で、それはしなかった。すると案の定、その後も頻繁に友人のポストが(誰かにリポストされて)私のタイムラインに流れてくるようになった。中には数千いいねされているものもあった。ガザに関する内容であることは変わらないものの、文章の端々に友人らしさがにじみ出ていた。なにせ数年前に仲たがいするまで、友人とはかなり親しかったので、あらゆることを知っていたし聞いていた。友人はもっと以前から活発に社会運動をしており、その頃の愚痴なんかもしょっちゅう聞いていた。

私はそれらのポストを複雑な思いで見ていた。書かれていることは至極まっとうで、私自身も賛同できる内容であるにも関わらず、正直自分でも驚くほど不快な気持ちになった。友人と縁を切ったのはもう何年も前なのに、未だにこれほど友人を嫌っているとは自分でも思いもしなかったのだ。一方で、それらのポストを見続けたいような好奇心も同時にあった。

数日前に、私はもう一度友人のアカウントをブロックした。縁を切った人間に無理やり再会させるSNSというシステムはなんて厄介なんだろうと思った出来事だった。